今回のテーマは「ブースター」コスメです。
いつの間にやら広がった「ブースター」という言葉。
今やコスメメーカーの半分以上が「ブースター美容液」を発売しているのではないでしょうか?
スクールでもサロンでも、「ブースターって効果あるの?」などなどご質問が絶えません。
皆さん、なんとなく違和感をかかえながらもついつい買ってしまうようで、
「ブースター」という言葉には、何か不思議な魅力を感じさせるものがあるかもしれません。
Renatus Luxでも、ブースター効果のあるコスメを多数扱っています。
しかし、効果的な一方で、慎重に選び組み合わせしないとトラブルの原因になったり、
せっかくのお手入れが台無しになることもあるので、
特性をしっかりと理解して、お手持ちのコスメに加えられるかどうか、
セラピスト に相談してから使いましょう!
では、「ブースター」のまとめです。
そもそもブースターとは?
ブースターとは「後押し」「増幅」「拡張」などの意味します。
コスメの場合は、「後に使う美容液や有効成分の浸透を促す」という意味で、この言葉が使われています。
化粧品の浸透は角質層まで
注意すべきは、「浸透」といっても、化粧品の場合、通常は角質層の深部までとなります。
イオン導入やポレーションなどの導入技術、精油やナノ化などの低分子成分、
キャリアカプセルなどを使えば表皮を超えて真皮まで届くことが分かっていますが(ナノ化コスメ)、
薬機法により、化粧品の説明に「角質層を超えた深部まで浸透」という表現が使えません。
どんなにブースターコスメを使っても、
使用する化粧品の分子や構造では角質層まで、
薬機法上では化粧品は角質層までということを覚えておきましょう。
ブースターコスメのタイプ
ブースターとうたっているコスメには、様々なタイプのものがあります。
1)角質を柔軟にすることで浸透を促すタイプ
2)セラミドなどの細胞間脂質を補って浸透を促すタイプ
3)界面活性剤で溶かし込んで浸透したと錯覚させるタイプ
4)分子生物学の「ベクター」効果で浸透させるタイプ
5)油脂を与え、化粧水の界面活性剤で乳化して浸透したと錯覚させるタイプ
6)ナノ化成分で保湿成分を補って、ヒアルロン酸などと水分を結合させるタイプ
などがよくみられます。
どのタイプを使うかは、「肌質」「そのあとに塗布するもの」によって、慎重にえらばなければなりません。
ブースターの良し悪し
2)セラミド などの細胞間脂質を補って浸透を促すタイプ
こちらは、セラミドの種類によってはベタベタ、グリセリンやBGなど安価な保湿剤でごまかされてしまっている場合もあります。グリセリンやBGは安全性も高いですが、肌フローラが乱れやすい方は少々注意が必要です。
3)界面活性剤で溶かし込んで浸透したと錯覚させるタイプ
5)油脂を与え、化粧水の界面活性剤で乳化して浸透したと錯覚させるタイプ
は「錯覚させる」ので最悪ですね…
強力な界面活性剤での乳化なら、お肌の自然な働きが妨げられてしまいますね。
これはあくまで推測ですが、よく、水分をのせた肌の比較写真(ブースター使った肌のほうが浸透しているように見える)は、
浸透してるではなく、界面活性剤を使うと(界面活性されてできる)水滴にそっくりです。
5)油脂を与え、化粧水の界面活性剤で乳化して浸透したと錯覚させるタイプ
こちらもよく見かけますね。
天然の植物油に界面活性剤は使われていないので安心ですが、やはり油なので水をはじきます。
が、脂溶性の有効成分には軽いブースター効果が期待できます。
肌に塗布した植物油脂に、脂溶性成分がゆっくり馴染むイメージです。
しかし、植物油脂は分子が大きいので(分解されなければ)、肌表面に留まります。
また、あとから使う化粧水・美容液にアルコールや界面活性剤が含まれているとなじみます。
乾燥してがちがちよりはオイルを塗っていただいた方が柔軟になりますが、
角質層には植物油のようなトリグリセリドはあまり含まれていないので、自然な状態ではありませんので、
日々続けるのは避けていただきたいです。
※オイル美容についてはこちらもご覧ください。
6)ナノ化成分で保湿成分を補って、ヒアルロン酸などと水分を結合させるタイプ
こちらは、細胞膜と同じ成分でカプセルを形成するナノ化の技術を使った成分でお肌を満たしておく方法です。
分子が小さいので、他の成分となじみますし、ナノ化に用いられているリポソームカプセルは、
自然な界面活性効果がありますので、水溶性のものとも脂溶性のものともよく馴染みます。
自然に浸透する方法としてはNo.1であると思いますが、
それゆえにナノ化されている成分の安全性をしっかり見極めることが大切です。
なんでも入ればいいってものでもないですね!
1)角質を柔軟にすることで浸透を促すタイプ
こちらは、AHA(フルーツ酸)や植物エキスが多く使われています。
角質は柔軟であるほど化粧品の馴染が良くなります。
しかし、角質層を柔軟にするつもりが、肌に合わなければ、角質層を剥離してしまい、
肌を薄く敏感にし、日焼けしやすく乾燥する肌にしてしまいます。
わかれば酸の種類と濃度、ここでも乳化剤・界面活性剤を厳しくチェックして、
敏感肌は絶対に使わない。角質層が薄い、シミ・日焼け・クープローズが気になる方は使わないことが大切です。
4)分子生物学の「ベクター」効果で浸透させるタイプ
Renatus Luxで実際にあった事例もご紹介しておきます。
ケース1
オイル美容をうたう植物オイルを購入。
「油脂はたしかに水をはじくけど、肌をやわらかくするので化粧水や美容液が浸透しやすくなる」
「ほかの植物油よりもとても酸化しにくいオイルなので日中ぬっても大丈夫。軽い日焼け止め作用がある」
と説明を受けた。化粧水を使うと、はじめはぬるっとするが、時間とともにさらっとするので大丈夫かと思ったが、
乾燥が強く、クレンジング洗顔も丁寧にできているのに毛穴にコメドが増えているため、フィードバックの中で判明。
化粧水には合成ではないけど界面活性剤、大豆レシチンが含まれていたので、オイルとなじんだ可能性。
現在は、角質柔軟タイプ・保湿タイプに変更して解決済み
ケース2
ジェルミルクタイプのブースターを購入を検討とのことでご相談。
タイプはセラミド、植物油脂が豊富なタイプ。ジェルミルク化のための界面活性剤は天然由来。
ただ、ふだんお使いの化粧水、美容液がすべて有効成分をナノ化されているものだったので、
植物油脂や高分子の成分が、せっかくのナノ化成分の浸透を邪魔する可能性を示唆。
オイリードライスキンなので、大きな分子の成分を含まない角質柔軟にしぼったものをおすすめして解決済み
ブースターコスメに限らず、肌質に合わなければ毒になるのがコスメです。
このようにチョイスと組み合わせが難しいものこそ、
エステティシャンとしての本領発揮できるのでご相談いただけると嬉しいです!
また興味深い事例があれば取り上げたいと思います。
Renatus Lux
石橋志保
エステティシャン、コスメアドバイザーさんに
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http://caracaro.com/page-7262/