肌とビタミンA
健康な肌にはビタミンAが蓄えられており、
活性酸素の除去や、ダメージを受けた肌の修復に働いています。
紫外線を浴びる量が多かったり、他の活性酸素の除去システムが低い場合、
そして老化によりビタミンAが減ってしまうと、
様々な肌トラブルの発生や、老化の加速が見られます。
また、皮脂腺にもビタミンAの一部をキャッチする受容体があり、
過剰な皮脂を抑え、毛穴の状態を整えるため、ビタミンA不足は、ニキビ吹き出物にも関わります。
【肌のビタミンAが不足しやすい方】
・紫外線を浴びる
・激しい運動
・喫煙
・アレルギーや肌荒れ、かぶれなどの炎症反応がある
・ピーリングやゴマージュを行っている
・レーザー、ハイフ、マッサージなど肌を刺激し代謝を上げるお手入れを好む
【ビタミンAが不足してる肌】
・ハリ、弾力に欠け、しわやたるみが目立つ
・皮膚が分厚い または 薄い
・毛穴が目立つ
・シミ、肝斑が急に目立つ
・皮脂が多いのに乾燥する または皮脂が多くかゆみなど敏感肌
・ニキビ、吹き出物ができやすい
・毛細血管拡張などにより赤み
・急な肌荒れ、皮むけがある
同じような状態でも、必ずしも「ビタミンA不足」とはいえませんが、
ビタミンA不足が疑われる場合は、肌に導入することで、肌代謝を促し、正常な状態へ回復をはかります。
食事やサプリメントの効果は?
お肌だけでなく、全身の様々な組織に必要なビタミンAですから、
まずは毎日の食事で摂ることが大切です。
ですが、お肌のためにより積極的に…というわけにはいきません。
残念ながら、様々な問題があるからです。
ビタミンAは、長期の過剰摂取はもちろん、
短期間であっても過剰摂取すると、様々な問題を引き起こします。
短期間の過剰摂取:腹痛や吐き気、嘔吐、皮膚の剥離、炎症
長期間の過剰摂取:脳脊髄液圧の上昇、筋肉痛、肝臓や脾臓の腫れ、皮膚の乾燥 脱け毛 骨折リスクの上昇
そういった理由から、ビタミンAはサプリメントでの摂取は危険とされます。
食品のビタミンA含有量から考えて、食品からはめったなことがない限り過剰摂取が続くことはないでしょう。
では、その過剰摂取の問題のために推奨されている、β-カロテンはいかがでしょうか?
β-カロテンは、体内でビタミンAに変換されて活用されるため、過剰摂取してもすぐに影響はありません。
ただし、変換される速度も遅いため、問題はないのですが、皮膚に効果を感じるほどでもないのです。
ビタミンA レチノール
皮膚には外用する ただし問題も多い
というわけで、肌ケアのためにはビタミンAは外用ということになります。
実際に、医療やエステティック、コスメにおいても、ビタミンAは幅広く使われています。
お肌の状態に合わせた適切な使用は、確かな効果を得られますが、
ビタミンAならばなんでもよいわけでもなく、
すべての方に適応されるものでもありません。
ビタミンA製剤や、ビタミンA導入、ビタミンA配合コスメのトラブルはとても多く、
正常な「反応」と「炎症」の区別が付きにくいことも問題になります。
【ビタミンAに対する通常の反応】
新陳代謝が弱った肌にビタミンAを補給すると、
急に肌の新陳代謝が促進されるため、それに伴う反応が起きます。
・一時的な乾燥感
・一時的な皮剥け
・一時的な赤み
・一時的なかゆいムズムズ、かゆみ
・まれにピリピリする
・代謝により、メラニン色素が濃くなったように見える
もともとどのくらい肌代謝が滞っていたか、ビタミンAの種類、濃度の組み合わせによりけりで、
その方のビタミンAへの感受性もあるため、これらの症状が強く出る場合もあります。
このときに大切なのは、
・代謝がよくなったのではなく、肌荒れ、かぶれ、アレルギー反応ではないか?を判断すること
・使用量、使用方法、保管方法は適切か
・ビタミンAの種類、濃度は適切か
・他の化粧品との組み合わせ、基剤に問題がないか
を見極めることです。
慎重に反応と回復を見ながら、
ビタミンA・ビタミンA誘導体の種類と濃度、
使用量、使用方法、頻度などを相談しながら使っていくことです。
続き → ビタミンAとビタミンA誘導体